吉田工場長の部屋
(月刊ジャーマンカーズ2004年11月号掲載)


皆さんこんにちは。

先月号でめでたく?終了した長期レポートの318is、応援していただいた方々に見守られていたかどうかわかりませんが(笑)本当にありがとうございました。あんまりトラブルらしいトラブルにも見舞われず、長期レポートの取材ネタにも事欠いてしまうという困ったオチもありましたが、最後にクラッチ交換なる作業を強引にねじり込んで華々しいファイナルを迎えることができました。

実はあの時、外したクラッチが予想に反してあまり減っていなかったもんですからまたしても何も変化がない状態か?と心配してしまいましたが見た目以上にクラッチカバーのダイヤフラムスプリングにへたりがあったようで組み終わってみればクラッチペダル踏力も軽くなってめでたしめでたし。あまりにも外したパーツに故障的特徴が見られなかったのでほとんど使用済みパーツの写真は掲載されなかったのですが、実際にもBMWのクラッチディスクは本来無交換で10万Kmは持ってしまう車なんですね。

取材でクラッチなんぞを手がけるとそーいう仕事がナゼか入ってくるもので、最近手がけた別の車のクラッチ交換において外したパーツを眺めてみると(写真1)
クラッチを切ったりつないだりするためのクラッチレリーズベアリングにダイヤフラムスプリングの跡がくっきり残ってしまっていました(写真2)これはレリーズベアリングの動きが少しずつ悪くなってきて、常にクラッチカバーをかる〜く押さえつけてしまっている状態が続いたためでしょう。こうなってくるとベアリング自体もゴロゴロして磨耗を加速させてしまいます。クラッチ自体が減っていなくとも、というよりむしろベアリングのほうが先に壊れてしまうケースが多いので(実に勿体ない話ですが)クラッチが重くなってきたり踏んだときにゴロゴロ感が出てきたらクラッチディスク、カバー、ベアリングをまとめて交換したほうがいいでしょう。
ちなみにこの車、クラッチレリーズレバーの支点部分(写真3)
のプラスチックも見事に割れておりまして(写真4)追加発注を余儀なくされてしまったので、しば〜らくリフトを占領してしまっています、こまったもんだ。

ま、そんなこんなで長期レポートは新しくE46 320iに変わりまして、前回あれだけ故障知らずで困っていたのになお壊れにくい車を用意してこの先どぉすんだろ?と一抹の不安を抱えつつ納車前整備にかかりまして、詳しくは本誌企画を参照頂きたいのですが、とりあえず一応交換しとこうかくらいの気持ちで取り外したサーモスタットがいきなりか損していることが発覚し(写真5)
こりゃあええ取材ネタをくれたもんだはっはっは、と喜んでいたら別のE46 318iも同じようにぶち壊れておりまして(写真6)共通しているのはサーモスタットハウジングがプラスチックで出来ている。いやまぁコストダウンというのはわかるんだけど・・・そら割れますわなぁ。割れさえしなければ軽くて柔軟性があり、いい素材だとは思うんですけど、ヘッドカバーも最近はプラスチック化されていてヘッドカバーが割れたという話は聞かないので単純に熱に弱いという話ではないと思います。とはいえ、現状ではプラスチック製のサーモスタットハウジングは割れやすいという事実はありますのでまだ一度も交換していない方は早めに一度交換しておくことをお勧めします。
ちなみに、このサーモスタットはエンジンルームのまん前についていて(写真7)ひと目みればそれがプラスチック製かどうかすぐにわかります。で、これが壊れるとどうなるかというと、エンジンが温まりません。この寒い季節にこの部品がイってしまうと実に寒い思いをしますから気をつけましょお!
この寒い季節になるとゴムパーツが硬化していろいろトラブルを出す時期でもあります、なんて言っているとほら燃料ホースがひび割れて(写真8)ガソリンが漏れ出してしまった車が・・・これはびっくり私の車でした。なぁ〜んかガソリン臭いなと思っていたらこんな状態に。いやぁ定期的なメンテナンスは重要ですね。

ところで阿部君のエンジンは?いったいどおしたんでしょ。もしかしたら中途挫折して車もろともに解体処分に・・・いえいえそんなこたぁありません。

ええ、やってますよ必死で。

本当はその記事も今回お伝えするはずだったんですが、どーもそのスペースがなくなってきてしまったようなので次回にまとめてお伝えします。最後にエンジン洗浄でびしょぬれになった阿部君の近影をごらん頂きましょお(写真9)

それではまた。

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