吉田工場長の部屋
(月刊ジャーマンカーズ2003年11月号掲載)


風邪引いちゃいました げほげほっ・・・

みなさんこんにちは

不覚にも私、この原稿を書いている今風邪をひいてしまったようで、
のどはヒリヒリ痛いし、おなかはゆるいし、頭はガンガンで、
今年の風邪はしつこいと毎年言ってるラジオ番組を聴きながらの毎日、

皆さんはお元気にしてますか?


工場のほうはというと、・・・・・・・・・
おかげさまでローダウン対策キットが好評を頂いておりまして、
気がつくと在庫がなくなってしまってあわてて追加するという
ありがたい事態に至っております。

今回は今まで広告の隅っこにちょこちょこっとしか書いてなかった
ローダウン対策キットにまつわるお話をいたしましょう。

そもそもこの対策キットはビルシュタインのBTSキットを
素組みで取り付けたときの車高があまりにも低すぎるのに対応した製品ですが、
実はこのパーツを製作するずっと以前に足回りをいろいろといじっているうちに
スプリングのセット方向によってもすこ〜し車高が変わることがあるのを
発見したのが始まりでした。

写真はE36クーペのリアスプリングですが、スプリングの座りを
ちょっと変えてあげることで2〜3ミリの差が出てきます。
もちろん左右で同じように調節してあげるのが基本ですね。
それからサスキットを取り付けるとき、同時にブッシュを交換することも
少なからずありますが、この時ブッシュを走行状態で締め付けるための
「ノーマルポジション」を決めてあげなければいけません。


これは車両からタイヤが浮いた状態と接地した状態では
明らかにブッシュの向きが変わってくるので、
走行状態でブッシュの方向を決定する重要な作業で、
ブッシュを交換しない場合でも純正と比べて大きく車高が変化する場合は
一度ブッシュを締め付けているボルトを一旦緩めてノーマルポジションで
再度締め付けるとブッシュにかかる負担が軽減されます。
E34のフロントは特に複雑なサスペンションレイアウトですから
ぜひやっておきたい処置です。

本来は4輪ともタイヤを装着して接地状態のまま車を持ち上げ、
下からボルトを締め付ければいいのですが、当社はそのようなリフトを
持っておりませんので(笑)写真のように下からジャッキを当てがって
車体がリフトから少し浮くくらいまで持ち上げるようにして締め付けます。
このようにすれば走行状態と同じようにノーマルポジションが決められます。

この作業、実は結構危険を伴う作業なので
経験のない個人による作業はやめたほうがいいでしょう。
間違ってもリジットラックとガレージジャッキでやることは避けてください。


最後はフロントタイヤのトー調整です。
数Km試運転をした後ステアリングセンターを出した状態で
フロントタイヤの前端と後端の左右幅を測定し、トーをイン側に、
すなわち前端が少し狭まった状態に調整します。

ブッシュがへたっていると走行するたびに値がほいほい変わってしまうので
サスペンション交換時にブッシュ類をチェックするのは
必須項目になってくるわけですね。
と、ここまでやってもハンドルが輪だちにとられる、突き上げ感が大きい、
タイヤが片べりする、という症状がどーしても改善されなかったんです。

ローダウンが行き過ぎて工場に来店いただくお客様が入り口で
リップスポイラーをぶち壊してしまうという笑えない問題もあって
この「ローダウン対策キット」の製作とあいなりました。

このパーツ、ハンドリングやタイヤの片べりには効果があることは判っていましたが、
乗り心地が大きく変わるのには驚きました。
これまで乗り心地というものはスプリングとショックアブソーバーとの
相性で決まってしまうと思っていたんですが、
実際は車高の要素も多分にあったわけです。

このローダウン対策キット、現在はE34用とE36用がありますが、
E34とE32(7シリーズ)は基本的にサスペンションレイアウトが共通なので
ひょっとしてE34用がそのまま装着できると思うんですが、
まだ試してません(爆)寸法がぴったり合っていても前後の車高が
アンバランスな可能性もあるのでE32はもう少し時間を下さい。


というわけで同じE34なら・・・・・・
あれっ!ツーリングはレベライザーがぁぁぁっ!
そうです、E34ツーリングは油圧式車高調整機構が装備されていて、
ショックアブソーバーに油圧を送ることで車高を上げ下げしているんですね。

とーぜんショックをビルシュタインBTSキットを装着するときはこのレベライザーの
油圧ラインを止めてあげなければならないんですが、問題は止め方で、
パワーステアリングの油圧を分岐してレベライザーに
油圧を送る構造を採っているこのクルマ、
そのパワステポンプの所で油圧を止めてしまうとポンプの油圧が上がりすぎて
ポンプが破壊してしまいます。

パワステポンプからレベライザーに油圧を送る配管は一旦リアアクスルで
左右に振り分けられると同時に余分な油圧をリターンさせているので、
左右に振り分けられている出口を塞ぐのが
一番確実でトラブルの心配がいらないっ!
と判ったまではよかったのですが・・・・・・

その出口のねじ穴、どうやら一般的なねじではないようで
口径の割にはねじピッチが細かいためその辺で売ってるものではなかったんです。
それにただねじをつけておけばいいと言う物でもなくて、
本来油圧パイプが中空ナットで締め込んであるこの場所は
油圧漏れを防ぐために奥の方がテーパー状になっているので
ボルトの方もちゃーんとテーパーカットしてあげないといけない・・・

そんな都合のいいボルト、ないよなぁ。うーん、ないかぁ、ぢゃ作っちゃえ、
というわけで出来ました。

名づけて「レベカットボルト」ええ、そのまんまですね(笑)
なんかこう、ネーミングがねぇ。

「ローダウン対策キット」といい、「レベカットボルト」といい、
どうしてもうちょっとかっこいいパーツ名が思いつかないんでしょうかねぇ・・・・
この会社は(涙)  覚えやすいから、まぁいっかな?

この「レベカットボルト」現在装着テスト中で、
間もなく発売できると思いますのでツーリングのオーナー様は
もう少し待ってて下さいね。
それではみなさん、寒い中風邪を引かないよう気をつけてくださいね。
私はステテコ+スウェット+トレーナー2枚+靴下2枚+ツナギ+ジャンパーで
この冬を乗り切ろうと思います。

また来月お会いしましょう。げほげほっ。

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