吉田工場長の部屋
(月刊ジャーマンカーズ2005年7月号掲載)


ん?タイヤが変だぞ?

みなさんこんにちは。

最近すっかり歳を感じる年齢に到達しまして(39歳)おかげさまで白髪もだんだん目立ってきましたので(涙)白髪染めでも、と思ったんですが、黒く染めるくらいならいっそ色を抜いてしまえとばかりに、金髪じ〜さんにでびゅうしてみました。

実際は一旦色を抜いた後ビミョーに緑を入れるという小技を使ってみたんですが、やってみると見事にダレも理解してはくれず、会社のスタッフ一同がどっ引きなのはまぁ愛嬌としても、わが娘までもが一瞬笑顔を引きつらせるという状態に若干の衝撃を受けつつも3週間ほど過ごすと、慣れというものは恐ろしいもので、何だか飽きてきてしまうんです。

インパクトの大きなものほど、収束って早いもので、それに輪をかけて「地毛の黒さが目立つ」という事態に焦った私は慌てて近所のドラッグストアで染料を買ってきて深夜に奥さんの手により「ちょっと深めの赤色」に変化。何事も極端な事すると、あとのメンテが大変なんですよね。

同時にやってもらった「眉カット」これがけっこー曲者で、一旦カットしてしまうと毎日メンテしないと生え際のまたみっともないこと。しょーがないのでなんだか先っちょの曲がったへんてこりんなはさみでちまちま切っていたんですが、面倒くさくなってきて、髭剃り用のかみそりで一気にじょりじょりやったらまぶたがひりひりしてくるし、こーいう事って本当にマメに継続しないといけないんですね。

これでもまだコエンザイムとか上等なクリームを顔中に塗りたくっているわけではないのでまだ手間はかかっていない方なんですが、女性ってもしかするとこれ以上のメンドーな真似を毎日やってるんですか?

化粧に時間がかかって彼氏旦那に怒られたとかいう話を時々耳にしますが、そら時間かかりますって。朝起きて顔あらって何か顔に塗りたくってひげそって髪整えてヘアクリーム塗って眉カットして、それでもしかすると1時間くらいかる〜く経ってしまうかも・・・もちろんあたしゃあそんなことしてませんが、いっぺんやってみると女性の立場が分かるかも・・・

さて今日は外気温が40度近くに達する過酷な工場にて(本当の話デス)V8エンジンの水漏れを検証してみましょう。いつもこのコーナーに限らず、BMWの水周りは危険がいっぱいと言っている私でありますが、危険なのは何もウォーターポンプとかサーモスタットばかりとは限りません。

実際に見てみましょう。車両はE38 740i。M60エンジンを搭載する割と初期のE38ですね。エンジン本体はE34のV8と殆ど同じ構造と思っていただいて構いません。もう年代も年代なのでウォーターポンプなどはそろそろくたびれて来ているのである程度予想がつくのですが、エンジン周りの水物は全て交換したのに何かちょっとずつ水が減ってしまう、なんてことありませんか?実はこのV8、思わぬ冷却水漏れがあるんです。実際に見てみましょう。(写真1)

このアングルから見て、オイルにまみれてはいないけど、何となく湿っている、という状態は要注意、クーラントが漏れている可能性があるのです。この車も写真では分かりにくいのですが、緑色の液体が漏れてきていました。こんなところから水漏れとは、もうトランスミッションを下ろさないと状況が確認できません。折角下ろすんですから、ついでにATFも抜いておきます(写真2)

なんだかんだ言って結構汚れてますよね(写真3)

分かりやすいようにあらかじめ邪魔なマフラーは外してあります。次はプロペラシャフトを外します。再組み付け時に位置が確認できるようにペイントマークで位置を書いておきます(写真4)

ボルトをエイヤっと緩めて(写真5)

うりゃあっと外します(写真6)
この状態で重量約100キロ!5速ミッションって重たいんですね。ミッションが外れたらフライホイールを外します(写真7)


フライホイールが外れると・・・分かりますか?エンジンブロックの真後ろに蓋のようなものが張り付いていて、そこから水漏れが(写真8,9)

蓋を外して見ると、まぁなんてこたあない普通のアルミの蓋なんですが(写真10)
どうもガスケットがやられてしまっているみたいですね。蓋を外されたエンジンブロックは、まさに裸の状態といえる感じでウォータージャケット越しにシリンダーがお目見えしてますね(写真11)
ここのガスケットがイってしまったために、それもいぢわるな事に少しずつ漏れるもんだからトラブルになかなか気がつかないんんです。折角ミッションを下ろしたんですからコンバーターのオイルも抜きたい所なんですが・・・重たい(写真12)

抜いたらひっくり返して完全に中のオイルを抜きます(写真13)

まぁ手間はかかりますが水周りとATF交換を同時にメンテできるという、考えようによっては一石二鳥な整備でした。何をやっても水の減りが収まらない、というV8オーナーの方、一度ここを疑って見るのもいいでしょう。

もう本当に暑くなりましたね。6月頃は外気温40度から3日目には20度前半という、そらもぉ過酷な毎日を送っておりまして、ちょっと髪の毛の量が多いくらいでも鬱陶しいというのでただ単に床屋に行ってこようという計画がいつの間にかひと夏のデビューになってしまいました。

気にするまいと思えば思うほどだんだんエスカレートしていく有様は、さだめし厚化粧を繰り返すオバサンの様相を呈しているのかも・・・ちょっと前まで敬遠していたはずの存在が急に身近に感じるとは、やはりそういうモノは人生の年輪と前向きに捉えるのが一番の慰めになるんでしょおか?あぁ、歳とりたくないなぁ。

でわまた。

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